【インタビュー】19歳で初代表、メダル獲得から8年…成長を遂げた宮下希保選手が、3×3女子日本代表として世界に挑む
2026年7月16日
「FIBA 3×3ウィメンズシリーズ 東京ストップ 2026」(8月1日・2日、国立代々木競技場第二体育館)を前に、3×3女子日本代表の宮下希保選手(178cm / 富士通 レッドウェーブ)にインタビューを行いました。2018年に3人制デビュー。同年のアジア競技大会でメダル獲得に貢献し、2024年のオリンピック予選へ出場するなど日の丸を背負ってきた中で、どんな経験をしてきたのか。初代表から8年がたち、大きな成長を遂げて世界に挑みます。

宇都宮で初の3×3。ルールを覚える「テストを受けた気がします(笑)」
――宮下選手の3×3代表キャリアは、8年前のアジア競技大会(2018年・ジャカルタ)でのメダル獲得の姿が印象深いです。どんな経緯で代表に選ばれ、活動したのでしょうか。
3×3を初めてプレーしたのは、19歳の時に宇都宮でやっていた大会(=FIBA 3×3 U23 ネーションズリーグ 2018 アフリカ&アジアカンファレンス)でした。場所は確か(二荒山)神社のところですね。JAPANのユニホームを初めて着て、その時は大神雄子さんがサポートコーチで、私と山本麻衣と高原(春季)と栗林(未和)の4人で出場していました。
そこからアジア競技大会のメンバーに選んでいただき、私と今野(紀花)と奥山(理々嘉)と栗林(未和)の4人で、少し事前合宿をやって大会に行ったんです。ただ、大会本番では、栗林がケガで出られなくなってしまい、アジア競技大会の5人制代表にメンバー入りしていたステ(馬瓜ステファニー)が急きょこっちにも合流して、試合へ臨んだんです。
――試合をやりながらチームで合わせたり、ルールを覚えたり、競技の特徴をつかんでいくような状況だったんでしょうか。
実際にプレーしてルールは覚えましたが、長谷川(誠)さん(アドバイザーコーチ)だったので、テストもありました。
――テストですか!?
ぺーパーテストですね。アークの外側は2点、内側は1点、ショットクロックは12秒とか。一番初めに、そんなテストを受けた気がします(笑)。
――アジア競技大会では銀メダルを獲得されましたね。大会で勝ち上がっていく中で、印象に残っていることはありますか。
あの時は3×3というより、3on3でした。チームプレーというより、とにかく1対1で打開していった記憶しかなくて。ステも奥山も今野も、個人技が凄い選手ですから。私は、一番年齢が上だったので初めてキャプテンのような立場になったんですけど、ステがずっと声を掛けてチームを盛り立ててくれたことしか覚えていないです(笑)。
――その後も宮下選手は、5人制代表に選ばれた時期もありましたが、3×3代表として数多くの大会に出場されました。2019年の3×3ワールドカップや、2024年には2度の3×3 パリオリンピック予選にも挑みました。代表戦で一番、印象に残っている大会はありますか。
やっぱり、宇都宮で開催されたパリオリンピック予選(=FIBA 3×3 バスケットボール ユニバーサリティオリンピック予選 2)のドイツ戦です。3人で勝った試合(○ 13-12)が一番印象に残っています。日本で開催されて、日本のファンの前で、私の家族や親戚も含めて初めて生で3×3の国際試合を見てもらえたんです。
ただ、大会初戦でエム(江村優有選手)がケガをしてしまって、3人という本当にタフな状況ではありました。それでも、勝たないとオリンピックに出られないという試合だったので、やるしかないと覚悟を決めて、ドイツ戦は応援の力で勝ちきれたと思っています。一番きつかったけど、一番楽しかったです。

昨シーズンは苦労も、最後の大会でMVP。「動けなくなってもいい」
――昨シーズン(2025年)は、インドネシアで開催されたFIBA 3×3 ウィメンズシリーズのジャカルタSTOPで優勝に貢献した姿がとても印象的でした。昨シーズンはどんな振り返りを持っていますか。
昨シーズンはワールドカップと、ウィメンズシリーズのウランバートルSTOP、ジャカルタSTOPの3大会に桂葵さんと鶴見彩さん、ワールドカップでは高橋芙由子さんもいて、私と高橋未来の5人が代表メンバーとして活動していました。前田有香さんが初めてヘッドコーチになった年でもあったんです。
私も未来も、これまで長谷川コーチの下で1対1を軸にした走るバスケをやってきて、完璧な形にはできなかったかもしれないけど、それはそれで楽しかったし、日本の強みも出ていたと思っていました。ただ、コーチが有香さんになって教わるようになった3×3ならではの局面の駆け引きをどうやればいいのか、私と未来は理解するまで苦労したんです。
ワールドカップ前に行った練習ゲーム後、振り返りの映像クリップを見せられるのですが、ほとんど私と未来のシーンで……(苦笑)。とにかく、有香さんや葵さん、彩さんに3×3を教え込まれ、昨シーズン最後の大会がジャカルタでした。ずっとできなかったことが少しできるようになり、STOP優勝という結果につながったので、大きな学びと成長を実感したシーズンだったと思っています。
――ジャカルタSTOPでは、MVPにも選ばれました。これまでの代表戦を見てきて、宮下選手は味方を生かすスクリーンやディフェンス、リバウンドで目立っていましたが、あの大会では得点を取る駆け引き、思い切りが良かった。オフェンスはどう振り返っていますか。
ワールドカップまでは味方をどう生かせるか、どうやって点数を取りやすくスクリーンをかけられるかを考えていました。あと、自分は体力があまり無いと感じていたので、ちょっとセーブしてしまう意識もあったんです。
でも、男子も女子もいろいろな国の試合を見て、5人制だったら40分あるけど、3×3は10分間で終わる。なのに、何で私は体力をセーブしているんだろうと思って。もう動けなくなってもいいから、思い切ったプレーを10分間やってみようと思って臨んだのがジャカルタでした。
実際に、やってみたら自分でもちょっと驚くほど「あ、私こんなに動けるんだ!」という感覚もつかめて。目の前の試合でとにかく余計なことを考えずに動き続けたから、チームとしても自分としても良い結果につながったと思っています。

チーム浮上の要因は「共通理解」……4連敗から2大会連続ベスト4に
――そんな積み重ねがあり、今シーズンは代表の更なる強化のため、ウィメンズシリーズへ昨シーズン以上に出場されています。シーズン当初の成都やマニラSTOP(5月)では4試合戦って勝ち星を挙げられず、苦戦されました。どう受け止めていたのでしょうか。
上手くいかなかった時期は、チームが勝つために何かやらないといけないと、選手それぞれが思っていたんですけど、チームとして考えがひとつになっていませんでした。共通理解の無いまま、個々の考えが独り歩きしていたのが、シーズン当初の2大会だったんです。
――一方で、直近2大会のスムガイトとウランバートルSTOP(6月)ではベスト4入り。チームとして良い流れをつかめた背景には、どんなものがあったのでしょうか。
6月の3×3ワールドカップで結果こそ出ませんでしたが、チームで動きを足したり、共通理解を深めたりしました。野口(さくら)と(田中)平和は3×3ワールドカップのメンバーではありませんでしたが、3×3女子日本代表として戦い方の土台が少しでき上がってきた手ごたえがあったんです。
直近の2大会のスムガイトとウランバートルSTOPは、高橋と私でワールドカップには無かった動きもできましたし、野口と平和が入ってできる動きもあり、そのチームの土台の上で、個々がチームのために必要な意見や考えを出し合って、みんなが理解し合って試合に臨めたからこそ、少しずつ結果に現れているのかなと思います。
この4人になってからの2大会は、本当に言い合いになったり、要求し合うようなシーンもあったりするんです。そういう変化もポジティブに受け止めて、すごく良い流れになっているんじゃないかと感じた大会になりました。
――ウランバートルSTOPの準々決勝でタイを破った試合では、終盤に2対2から得点を重ねていく流れがとても良かったと感じています。それも成果のひとつなのでしょうか。
スクリーンの駆け引き、2対2のシチュエーションは、ヘッドコーチからも言われてきた課題でしたので、それを克服できたのは成長だと思います。最初の2大会は、2対2の場面で言われた練習をそのままやってみたけど相手に守られてしまうシーンが多かったんです。ですが、直近は相手の状況に合わせてスクリーンをかける、相手を見て駆け引きできるように少しずつなってきたと思っています。
――チームとして得点も、直近2大会は増えてきましたね。
2ポイントのアテンプトが増えてきた効果だと思います。2ポイントが打てないと、1点も守られてしまう悪循環になっていましたが、2ポイントが打てるようになると相手のディフェンスが出てくるので1点を狙えるスペースも空きやすくなってくる。もっと外からのアテンプトを増やさないといけませんが、だんだんとオフェンスの手ごたえも出てきました。

W杯王者らが来日。東京で強豪に挑む……「私たちは挑戦者」
――ウランバートルSTOPの準決勝でドイツに敗れましたが、4月の取材で「東京STOPまでにバチバチに戦えるように」とお話されていた通り、少しずつ戦い方が形になってきたと思います。8月1日・2日の東京STOPに向けて、どんな意気込みでしょうか。
私たちは、ドイツに負けた時にある程度のレベルまでは来たけど、この先はもう1段階チームとして成長しないと、ドイツなど上位チームに勝てないと痛感できたので、ウランバートルSTOPは本当に良い大会だったんです。悔しい負け方をして、みんなすごく悔しい思いをして帰国していますが、ドイツとの試合があって良かったと思います。
東京STOPの前に、インドネシアのバタムSTOP(7/23-7/24)もあるので、そこでまたひとつチームとして積み上げていきたいですし、私たちはアンダードックなので、ホームという意識より、常に食ってかかるぐらいの気持ちです。チームで日本の3×3を体現するのはもちろん、相手とバチバチに戦って、出場する4人でゲームを楽しんでいきたいです。
――東京STOPでは、初めて3×3を見る方や、普段Wリーグで宮下選手を応援しているファンの方も来ると思います。皆さんへ向けて3×3女子日本代表や、日本勢の見どころを最後にお聞かせください。
普段5人制を見ているファンの皆さんだと、3×3はあっという間に1試合が終わると思うんです。だからこそ迫力があり、ずっと強度が高い中でバスケが展開される面白さがあるでしょう。選手たちがバチバチに戦っている様子や、5人制には無いストリート感があるところも魅力ですね。DJの音楽がガンガンに流れているのも、楽しんでもらえたらと思います。
日本から三菱電機や高崎が出場しますし、葵さんはアゼルバイジャンのNeftchi SOCARのメンバーとして出場されます。それぞれチームカラーを持っており、スピードで崩していくチームもあれば、私たちのように2対2で崩していくチームもあります。チームによって強みが違うので、そこを楽しみながら見てもらえたら、私たちも嬉しいですね。
――代々木第二体育館での活躍を楽しみにしています。予選プールの組み合わせはこれから発表ですが、3×3ワールドカップで今年優勝したアメリカ、去年の覇者オランダ、昨シーズンのウィメンズシリーズ女王のカナダが来ますね!
東京STOPには3×3ワールドカップの上位チームが多く参戦するので、出場チームの顔ぶれを見た時に、本当にびっくりしました。でも、私たちもまだまだ成長できますから、頑張っていきます!